天国の箸
「天国の箸」の話は、聞いた事はあるでしょうか?
あの世の箸は、2メートルほどあるという話です。
そうすると、自分の口に食物を運ぼうとしても無理です。
地獄では、みんな自分だけ食べようとするため、結局は食べる事ができません。
でも、天国では、自分が真っ先に食物を食べるのではなく、目の前にいる者同士で互いに箸を差し出し合うので、食べる事ができるというわけです。
天国にいる人達が、いかに人を思いやる心に溢れているかを表わす話です。
私がこの話を初めて聞いたのは、契山館に入る前です。
「そうか、こういう思いやりのある人だから、天国に入る資格があるのだな。」と思い、自分の心の狭さを反省したものでした。
でも、本当のところ、あの世の「思いやり」とはどういうものでしょうか?
そもそもあの世では、食物を欲しない身体となります。
欲しい物は念じれば何でも出てきますし、どんなに身体が傷ついても死ぬことはなく、すぐに元に戻ります。
そういう世界ですから、「思いやり」の意味も、この世とは違ってくると思われます。
この世では、食べられない人に食物を与え、住む所が無い人に住む場所を与え、命が危ない人の命を救えば、善行を施したとされます。
でも、あの世では何一つ不自由はありませんから、勝手に「家を作ってやったよ。」と言って、家を見せられても困ります。
そういう家が欲しければ、とっくに自分の念で建てています。
「天国の箸」の話は、天国は「良い人」が集まっている場所であり、その「良い人」というのも、「自分よりもまずは他人に物を与える人」という発想から抜けきっていないようです。
食べたくもないのに、2メートルの箸で無理矢理に食べ物を口に運ばれたら、私だったらキレます。
「天国の箸」の話は、地上の生活でこそ意義深いものだと思います。
(注)この記事は、私(ドーン)の理解の範囲内で書いており、契山館の公式見解を掲載したものではありません。