Dont Look Up (2021) 米映画が面白かった話

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目次

物議を醸すであろう問題作?

2021年12月10日に劇場公開され、2週間後にはネットフリックスで公開となった米映画「Don’t Look Up」

脚本・監督はアダム・マッケイ。メインキャストに、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープ、ケイト・ブランシェット、ロブ・モーガン、ジョナ・ヒルといった顔ぶれが揃い、アリアナ・グランデが作中でゲストとして歌を披露するなど、封切り前から話題に事欠かない作品です。

ひとことで表すと、

地球の環境問題をアピールするブラックコメディー

そして、立場や先入観を横に置いて素直な気持ちで観ると、最初から最後まで、一字一句見落とせない、相当思い切った主張が凝縮された作品だと思います。

それほどに、あらゆる角度から今の社会を映し出し、いったい自分の立ち位置はどこなのだろうと考え込んでしまうのです。

時間と機会があれば、ぜひご覧頂きたい映画です。(とはいえ、好き嫌いがはっきり分かれそうだなぁ・・・Rated Rでののしり言葉が山盛りです)

ちょっとだけストーリーライン:Never Look Up

ある大学の天文学教授と大学院生が、新しい彗星を発見したと喜ぶのも束の間、その彗星が約6ヵ月後に地球に衝突し、人類は滅びてしまうという設定。その事実を公表しようと、ふたりはあらゆる手を打つのだが・・・。

信じがたい情報を突き付けられ交錯する協力者、利用者、反対者、振り回される人々。残された時間が限られていることを受け入れた時、人が取る行動とは。それぞれのプライオリティや価値観が浮き彫りにされていく、他人事とは思えない状況。

裏話:出演者の対談を観て思ったこと

脚本・監督のアダム・マッケイ氏によると、この映画の狙いは、人々に環境問題の深刻さを訴え、積極的な行動を促すものだったそうですが、レオナルド・ディカプリオ氏が、そういった方面で積極的に活動していることも合わせると、この作品はかなり政治色が濃いといえるのでしょう。そもそも米エンタメ界はそういう要素が大きいのでしょうが、この作品は、思いがけずメッセージ性が高いように感じました。

着目したい点は、まず作品全体をくまなく包むブラックコメディーの旋律。

どんだけの人を敵に回すの?というほど次々に飛び出してくる風刺的な描写、皮肉っぽい演出。

彗星の衝突で人類が滅亡するというテーマは、珍しいものではありませんが、今までの作品はほぼ全て、なんとなくハッピーエンド。

ヒーロー的存在が、自らの命を犠牲にして彗星の軌道を変更させ人類を救ったとか、生き残った人々が新たな未来に向かって歩みだす希望に満ちたエンディングとか。

けれどもこの作品には、そういったある意味「甘い」選択肢が提供されていません。マッケイ氏も、視聴者は、そういうハッピーエンドに慣れてしまっている、それが、現実から目を逸らすことにもつながっている、と指摘しています。

人間というものは、どうしても自分たちの都合のいいほうに考えがち、というか、考えたいものです。人類の90%が滅びるとしても、自分は生き残る10%に入れると思いたい。バッドニュースを聞かされても、どこかで、そんなはずはない、なんとかなる、と期待してしまう。

彗星によって地球が破壊されるというのは極端な話ですが、もし、あと10年以内に手を打たないと環境破壊は免れないと言われても、ほとんどの人は、そこまで真剣に行動するに至らない。何をすればいいのかもわからない。

プラスティック廃止、リサイクル奨励、節電・節水、ごみの分別・・・、そういうこともプラスではあるけれど、それだけでは間に合わない。でもそれ以上のことは、忙しくて考えていられない。それが大多数の本音というか苦しい現実です。

今の人類の意識では、おそらく、誰がどのようなメッセージを発信しようと、一致団結して真摯に問題解決に臨もうという動きにはならないでしょう。自己犠牲なんて、あっけなく限界に達するだろうからです。それは善でも悪でもなく、物質界に生きる人間の姿です

霊魂学徒という立場から

おそらく、霊魂学を伝えようと日々尽力されている方々がこの作品を観ると、同調する部分が多いことに気づかれるのではないでしょうか。

真剣に声を上げる者をあざ笑い、利益のために権力を利用し、自分たちだけが正義であると主張する人々が、真実を捻じ曲げ、人類を霊的崩壊の道へと推し進めてきたのです。

醜いほどに執着し、しがみついているその命が、かりそめの姿なのだと気づくこともなく、その先に待っている現実を探ろうともせず、ようやく手に入れたおぼろげな極楽によって自滅していくのです。

怯えて迷える愚かな魂であることから目を逸らし続けた結果を、永遠のような時間をかけて思い知ることになるのです。

人類にハッピーエンドはあるのでしょうか?

ありません。なぜなら、魂は死なないからです。そんなに簡単には終わらないからです。

地球が破壊されようが、人類が絶滅しようが、それは物質の話。霊的生命体である人類は、そんなに簡単に逃げられないのです。

一瞬の恐怖に耐えれば命が絶たれ、消滅してしまうならどれだけ楽なことか。

死を覚悟して受け入れ、大切な人達と手を取り合って祈りながら最期の時を迎える、それは正義と威厳に満ちた姿なのかもしれないけれど、霊的生命体としては、それほど意味がなかったということを、人は知ることになるでしょう。

Don’t Look Up. なぜならそこに真実があるから

そう言われたら、あなたは見上げずにいられるでしょうか。

そこに真実を見つけようとするでしょうか。あるいは、見て見ぬふりを続けるでしょうか。

Bad newsで始まり、Bad newsで終わる、そんな作品を世に出した勇気と情熱は、たとえ目指す方向が違っていても、称賛したくなる、そんな印象を残した映画でした。

付録(非公式意訳)

人気情報番組の席で、天文学教授がついにキレてしまう場面

「体裁ばかり気にして振舞うのはもうやめてくれないか?落ち着き払って理知的で愛想がよくて好感度が高くて、いつもそんな風でなきゃいけないって誰が決めたんだ!お互い言わなきゃいけないことを言って、聞く耳を持たなきゃいけない時ってのがあるんだ。」

大統領が民衆に向けて舞台演説する場面

「あの人たちが、どうして見上げろと言うかわかりますか? 怖がらせたいからです。そうやって怖がらせて、自分たちを正当化して、あの人たちは皆さんのことを見下しているんです。」

メリル・ストリープが映画について語った座談会でのひとこと

「人を追い詰めて、壁に押し付け、あなたはこうするべき!と責めたところで、誰も何もしない。本当に人の心を開き、耳を傾けてもらうためには、こういうジョークが必要なんです。」

2021年12月公開の米映画「Don’t Look Up」

by さんば

(注)この記事は、水波霊魂学で学んだことをもとに、私(さんば)の理解の範囲内で作成したものであり、契山館の公式見解を掲載したものではありません。

 

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